三畏閣/解体終了
学生たちの青春の場
「三畏閣」(後の正式名称:第三学生集会所)の名で、学生、教職員に長年親しまれてきた純和風の集会施設。入母屋造、妻入、桟瓦葺の2階建には、上下あわせて5室、床の間と縁側の付いた和室があります。
「昔は学生も教師もドンチャン騒ぎして庭の池に飛び込んだりしていた」と、3代目管理人を務めた吉岡鈴子さんの言葉のとおり、クラブ活動や宴席などで長く利用され、学部学科を越えて、また学生と地域の交流の場として、共通記憶を喚起させる施設としての価値の高いものです。
また九大茶道部が発足する際、当時の学長と裏千家の家元がここで茶を一席設けたという話もあり、歴史的建造物の少ない福岡市内でも有数の古い茶室になります。広い座敷に3間(1.8×3メートル)に及ぶ長押は見事で、柱時計など一部調度品にも産業遺産としての価値を認めることができます。「三畏」の名前の由来は、孔子の言葉「君子に三畏有り。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る。」から名付けられました。
孔子曰く「君子に三畏有り。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る。」
書院
折上げ格天井と3間に及ぶ長押の本格的な書院。
庭園
庭園の三方を縁側で囲い、中心に池を設けています。
三畏閣の茶室
九大茶道部が発足する際、当時の学長と裏千家の家元がここで茶を一席設けたという話を、三畏閣最後のお茶会の際に伺いました。
樹木のナンバーリング
この数字は九州大学が管理している樹木の数で、三畏閣でこの番号は終ります。実に3000本以上の豊かな樹木が跡地に根を張っています。
2018年1月 解体
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2017.12.13
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2017.12.13
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2017.12.13
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2017.12.13
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2018.1.10
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2018.1.10
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2018.1.18
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2018.1.24
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2018.3.09
物件情報
構造規模 | 木造、階数2 |
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延べ面積 | 453㎡ |
竣工年 | 1937年 |
状態・コメント | 後70年近くを経て痛んだ箇所も少なくないが、補修の容易なことが木造建築の特徴であり、保守に配慮を欠かなければまだ十分に利用可能である。耐震性、耐久性は不明であるが、外観から劣化は見られない。木造であるため、耐火性能はない。 |
今後の取り扱い | 大学敷地外にあり、評価対象にはいっておらず、解体方針となっています。 |
参考文献:「平成24年度 九州大学箱崎キャンパスにおける近代建築物の調査」、「福岡の近代化遺産」
- 経済産業省による「近代化産業
遺産群 続33」に登録された建物 - 平成24年度九州大学箱崎キャンパスにおける
近代建築物の調査において評価をうけた建物 - 更地化されたエリアまたは
現在更地化が進んでいるエリア - 近代建築物の調査において
評価をうけたが解体された建物