道路工学実験室/解体終了
大正生まれの白い貴婦人
大正末期に建設された実験室で、法文学部と同じ建設年であるが意匠が異なった、倉田謙の異色作です。角部などの一部の意匠を施した以外は、装飾が抑えられている意匠でキュービットなデザイン。他の建築にみられる重厚感を感じさせない女性らしい印象で、人に例えると白い貴婦人と思わず呼びたくなります。
極めて初期のアールデコからモダニズム建築への移行を感じさせます。グラミンハウス(旧・超伝導システム科学技術センター)と隣あって建っており、周りの樹木も含めて静寂な佇まいを残しています。
解体直前の貴重な記録。窓ガラスもはずされ、室内も撤去されています。
物件情報
構造規模 | RC造、階数2 |
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建築面積 | 316㎡ |
延べ面積 | 410㎡ |
竣工年 | 1925年 |
主要諸室 | 無理をしなければ事務施設や商業施設などへのリノベーションは容易ではないかと考えられる。規模も手頃な大きさ。小規模であり、再活用のしやすい建築である。鉄筋コンクリート造であるが、構造体が著しく劣化しているため、詳細な調査が必要である。 |
今後の取り扱い | 評価C/解体方針。構造的な劣化が著しく、利活用が困難と思われるため、ファザード保存・記録保存等を含めた取り扱いを検討する。 以下の手順を踏んだ上で建物を解体する。 ①解体する建物を広く公開する。(建物の情報・活動歴史の紹介、解体前の撮影会等開催) ②記録保存を適切に行う(映像記録、3次元測定、部材保存) ③研究利用を行う(研究上、価値があるものを対象) ※非公式な見解として一部の専門家は、RCの中性化は進んでいるものの利活用は充分可能とする声もあります。 |
参考文献:「平成24年度 九州大学箱崎キャンパスにおける近代建築物の調査」、「福岡の近代化遺産」
- 経済産業省による「近代化産業
遺産群 続33」に登録された建物 - 平成24年度九州大学箱崎キャンパスにおける
近代建築物の調査において評価をうけた建物 - 更地化されたエリアまたは
現在更地化が進んでいるエリア - 近代建築物の調査において
評価をうけたが解体された建物